信玄の隠し湯

武田信玄は温泉の効能に着目し、兵の湯治の場として積極的に温泉開発を進めていました。合戦の前に甲斐国内に散らばる隠し湯を点検させ、施設の拡充を命じていたと伝えられています。

山梨県内には現在も、⌈信玄の隠し湯⌋と伝わる温泉が多数存在します。信玄も愛した隠し湯は、現代の我々の身も心も癒してくれることでしょう。

甲府近郊の隠し湯

川浦温泉(かわうらおんせん):山梨県山梨市三富川浦
川浦温泉は鎌倉時代に発見され、信玄の時代に開発された温泉です。川浦温泉 山県館は、武田四天王の一人 山県昌景を初代とし、今日まで15代続く名湯の老舗旅館です。
積翠寺温泉(せきすいじおんせん):山梨県甲府市上積翠寺町
積翠寺を拠点としていた修験者により鎌倉時代に発見され、以降、戦国の世を経て今日まで親しまれてきた温泉です。要害と古湯坊という2軒の老舗旅館があります。
湯村温泉(ゆむらおんせん):山梨県甲府市湯村
およそ1200年前に弘法大師が開湯したと言われる温泉です。信玄も上田原の合戦や塩尻峠の合戦の後、湯治に訪れたと伝えられています。他にも、武田二十四将の一人である多田三八による鬼(天狗)退治の伝説など、多くの伝説が語り継がれています。
下部温泉(しもべおんせん):山梨県南巨摩郡身延町
1200年もの歴史を持つと言われ、日本の名湯百選にも選ばれた温泉です。信玄の父 信虎の時代から公認の湯とされ、信玄も川中島の合戦の折、下部温泉を訪れ、上杉謙信から受けた刀傷を癒した伝えられています。
嵯峨塩鉱泉(さがしおこうせん):山梨県甲州市塩山牛奥
開湯はおよそ700年前に遡ると言われ、標高約1300mの地に湧く鉱泉です。原生林に囲まれた中に、100年以上の歴史を持つ嵯峨塩館という老舗旅館が佇んでいます。
増富温泉(ますとみおんせん):山梨県北杜市須玉町
信玄が金鉱採掘する中で鉱泉を発見したのがその始まりと伝えられる温泉です。ラジウムを豊富に含むその湯には高い効能があり、湯治場として栄えてきました。現在も、本谷川に沿って温泉旅館が立ち並んでいます。
岩下温泉(いわしたおんせん):山梨県山梨市上岩下
少なくとも1700年以上前から存在し、山梨県内で最も古いと言われている温泉です。古来より霊湯として知られ、武田家ともゆかりの深い温泉です。やすらぎの一軒宿 岩下温泉旅館では立ち寄り湯を楽しむこともできます。
橋倉鉱泉(はしくらこうせん):山梨県大月市賑岡町
戦国時代、武田二十四将の一人である小山田信茂によって発見されたと伝えられる鉱泉です。金山の採掘に従事した人々を療養したと言われています。創業120年の一軒宿 心のふるさと橋倉は、現在、休館となっています。
田野鉱泉(たのこうせん):山梨県甲州市大和町田野
傷病兵が湯治したと伝わる鉱泉です。以前あった旅館は廃業し、現在は、その跡地に建てられた大和村福祉センター 田野の湯で湯を楽しむことができます。